iCloudデータ移行・転送の手順を徹底解説
新しいiPhoneに機種変更する際、「データが消えないか心配」「どの手順を踏めばよいか分からない」と感じたことはありませんか。
本記事では、iCloudによるデータ転送の仕組みから手順、よくあるトラブルへの対処法までわかりやすく解説します。
・iCloudの無料容量は5GBのため、移行前の容量確認と整理が欠かせない
・容量が不足している場合は、新デバイス購入時に限り一時的な無料ストレージを利用できる
目次
iCloudを使ったデータ移行の基礎知識
iCloudは、Appleが提供するクラウドストレージサービスです。写真・連絡先・メモ・アプリデータなど、iPhoneの各種データをインターネット上に保存し、別のデバイスへ復元する際に活用できます。 機種変更の場面でiCloudを使うメリットは、専用ケーブルやPCを用意しなくても移行が完結する点です。
iCloudでは、同期とバックアップを組み合わせてデータを引き継ぐことができるのが強みです。
iCloudバックアップで移行できるデータの種類
iCloudバックアップとiCloud同期は異なる仕組みで動作します。それぞれの対象データと、バックアップに含まれないデータについて見ていきましょう。
iCloudバックアップとiCloud同期の違い
iCloudバックアップには、iCloudに未同期のデータや設定が保存されます。
連絡先・カレンダー・メモなどのiCloud同期対象データは、バックアップとは別にiCloudから再同期される場合があります。下表は主なデータの保存方法をまとめたものです。
| カテゴリ | 対象データの例 | 保存方法 |
|---|---|---|
| iCloud同期データ | 連絡先・カレンダー・iCloud同期中のメモ | iCloudから再同期 |
| バックアップデータ | アプリデータ・設定・ホーム画面レイアウト | iCloudバックアップに含まれる |
| メディア | 写真・動画(iCloud写真オフ時) | iCloudバックアップに含まれる |
| 通信 | SMSメッセージ・iMessage履歴(未同期分) | iCloudバックアップに含まれる |
| デバイス設定 | Wi-Fiパスワード・アクセシビリティ設定 | iCloudバックアップに含まれる |
すでにiCloudに保存および同期されているメモは、iCloudバックアップ対象外となります。 復元後にiCloudから最新データが転送される仕組みです。
iCloudバックアップに含まれないデータ
バックアップされないデータを事前に把握しておくことで、移行後に「データが見当たらない」というトラブルを防げるでしょう。
Apple PayのSuicaやクレジットカード情報、Touch ID・Face IDの生体認証設定はバックアップ対象外となっています。また、LINEなど一部アプリは、iCloudバックアップとは別にアプリ内の「トーク履歴のバックアップ」を個別に実行が必要です。
iCloudミュージックライブラリおよびApp Storeのコンテンツはバックアップに含まれず、購入済みコンテンツは復元時にAppleのサービスから再ダウンロードされます。
データ移行前に確認すべき準備事項
移行を開始する前に、複数の確認事項を済ませておくとトラブルを防ぎやすくなります。ここでは3つの準備事項について解説します。
Apple AccountとiOSバージョンの確認
iCloudを利用するにはApple Accountが必要です。
移行元デバイスで使用しているApple Accountのメールアドレスまたは電話番号とパスワードを、あらかじめ手元に用意しておきましょう。また、iOSバージョンが古い場合は、「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から最新バージョンへのアップデートを済ませておくことがおすすめです。
iCloudストレージの容量確認と整理
iCloudの無料ストレージ容量は5GBです。
写真や動画を多く保存している場合、5GBではバックアップ容量が不足するケースがあります。移行前に「設定」→ 自分の名前 →「iCloud」→「アカウントのストレージを管理」から使用状況を確認しましょう。
容量を確保する方法としては、不要な写真・動画の削除や、古いデバイスのバックアップデータの削除が有効です。なお、写真を削除しても「最近削除した項目」に30日間保持されるため、容量が解放されるのは該当フォルダを空にした後です。
有料プラン(iCloud+)の料金一覧
容量が不足する場合は、iCloud+へのアップグレードを検討する方法もあります。
日本向けの料金(税込)は下表のとおりです。
| プラン | 容量 | 月額料金(税込) |
|---|---|---|
| iCloud | 5GB | 無料 |
| iCloud+ | 50GB | 150円 |
| iCloud+ | 200GB | 450円 |
| iCloud+ | 2TB | 1,500円 |
| iCloud+ | 6TB | 4,500円 |
| iCloud+ | 12TB | 9,000円 |
一般的な写真・動画の保存量であれば、月額150円の50GBプランで対応できる場合がほとんどです。 大量の動画データを保存している方や、家族間でストレージを共有したい場合は200GBまたは2TB以上のプランが選択肢となります。
iCloudを使ったデータ移行の手順
実際の移行は「バックアップの作成」と「新しいデバイスへの復元」の2段階に分かれます。それぞれを順番に実行することで、データを確実に引き継ぐことが可能です。
移行元iPhoneでバックアップを作成する手順
バックアップ作成前に、移行元のiPhoneがWi-Fiに接続されていることを確認しましょう。
手動バックアップの手順は以下のとおりです。
- 「設定」アプリを開き、画面上部の自分の名前をタップする
- 「iCloud」→「iCloudバックアップ」の順にタップする
- 「今すぐバックアップを作成」をタップする
- バックアップが完了するまでWi-Fiに接続したまま待機する
バックアップ完了後は「最後のバックアップ」の日付と時刻が更新されていることを確認してください。なお、電源・Wi-Fiに接続した状態で画面をロックしておけば、夜間などに自動バックアップも実行されます。
新しいiPhoneにデータを復元する手順
新しいデバイスへの復元は、初期設定の画面から行います。
手順は以下の通りです。
- 新しいiPhoneの電源を入れ、言語・地域の設定を進める
- Wi-Fiネットワークに接続する
- 「アプリとデータ」画面で「iCloudバックアップから復元」をタップする
- Apple Accountのメールアドレスまたは電話番号とパスワードでサインインする
- 各バックアップの日付とサイズを確認し、正しいものを選択する
- 復元が完了するまで、Wi-Fiと電源に接続したまま待機する
復元中はWi-Fiと電源の接続を切らないことが大切です。完了後もiCloudに保管されている写真・アプリなどのコンテンツが自動的にダウンロードされるため、接続を維持したまましばらく待機するとスムーズに移行が完了します。
旧デバイスが手元にある場合の転送方法
旧デバイスが手元にある場合は、クイックスタート機能を使ったデータ転送が選択可能です。
この機能は近くにある以前のデバイスを使ってデータを転送する方法であり、iOS 17.2以降またはiPadOS 17.2以降が必要です。手順としては、旧デバイスと新デバイスを近づけると転送設定が自動的に始まり、「データの転送」画面で「iCloudからダウンロード」を選択することでiCloudバックアップを使って復元できます。
なお、この方法では旧デバイスのiOS 17.2以降への更新が前提条件となるため、事前にソフトウェアアップデートを完了させておくことが必要です。
容量が不足している場合の特別な対処法
iCloudの空き容量が足りなくても、機種変更時に限り無料で追加ストレージを利用できる仕組みがあります。有料プランへのアップグレードを急ぐ前に、まずこの方法を確認することをおすすめします。
新デバイス購入時限定「一時的なiCloudストレージ」の活用
新しいiPhoneやiPadを購入した場合に限り、iCloudストレージを一時的に無料で利用可能です。
通常プランで空き容量が不足していても、この一時ストレージを活用することでバックアップを作成できます。利用条件は、移行元デバイスを最新バージョンのiOSにアップデートし、Apple Accountの情報を手元に用意することです。
一時ストレージのバックアップ手順は以下のとおりです。
- 「設定」アプリを開いて「一般」をタップする
- 「転送または[デバイス名]をリセット」をタップする
- 「新しい[デバイス名]の準備」の下の「開始」をタップする
- 「iCloudバックアップがオフになっています」と表示された場合は「バックアップをオンにして転送」をタップする
- バックアップが完了するまで待機する
一時的なバックアップの有効期限と延長方法
作成した一時バックアップには有効期限が設けられています。
新しいデバイスへの復元はバックアップ作成から21日以内に行う必要があり、期限を過ぎると一時ストレージの有効期限が切れ、バックアップは完全に削除されます。
新しいデバイスが21日以内に届かない場合は、旧デバイスの「設定」を開いて「バックアップの期限を延長」をタップすることで、さらに21日間の延長が可能です。なお、復元完了後も一時バックアップは7日間保管され、その後完全に削除されます。
復元が終わるまでは、旧デバイスのデータを消去しないように注意しましょう。
データ移行にかかる時間の目安
移行にかかる時間は、データ量とWi-Fiの通信速度によって大きく変わります。Apple公式は、バックグラウンド復元に数時間から数日かかる場合があるとしています。
所要時間はデータ量・Wi-Fi速度・混雑状況で大きく変わるため、夜間など充電しながら放置できる時間帯にバックアップを開始すると、時間を有効に活用できるでしょう。
データ移行がうまくいかない場合のトラブル対処
バックアップや復元が途中で止まる・失敗するケースには、いくつかの共通した原因があります。
バックアップが作成できないときの確認ポイント
iCloudバックアップができない代表的な原因は「容量不足」「Wi-Fi未接続」「iOSの未更新」の3点です。
まずWi-Fiへの接続状況を確認し、次に「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」から最新版へのアップデートを実施することが推奨されています。容量の問題が疑われる場合は、使用していない古いデバイスのバックアップデータを削除することで空き容量を確保が可能です。
削除は「設定」→ 自分の名前 →「iCloud」→「アカウントのストレージを管理」→「バックアップ」から実行できます。
復元後にデータが見当たらない場合の対処
復元直後は、写真・アプリ・メッセージなどのデータがバックグラウンドでダウンロードされている途中のことがあります。
Wi-Fiと電源に接続したまましばらく待機すると、徐々にコンテンツが反映されます。特定のアプリデータが見当たらない場合は、そのアプリが独自のバックアップ機能を持っているケースが多いため、各アプリの設定を個別に確認するのが有効です。
iCloud設定・Apple Accountの認証エラーへの対処
復元の途中でサインインエラーや認証エラーが発生する場合は、Apple AccountのIDとパスワードを再確認をしましょう。
複数のApple Accountでコンテンツを購入している場合は、それぞれのApple Accountでサインインを求められることがあります。パスワードを失念している場合は、「Apple Accountをお持ちでないか忘れた場合」をタップすることで、その工程をスキップして後から設定することも可能です。
まとめ
iCloudによるデータ移行は、Wi-Fi環境とApple Accountがあればおおむねスムーズに完結できる方法です。
ただし、無料の5GBは写真・動画が多い場合にすぐ不足するため、移行前の容量確認を必ず行いましょう。容量が足りない場合でも、新デバイス購入時の一時的な無料ストレージを活用することで、課金せずに対応できるケースがあります。
本記事の手順に沿って1つずつ確認しながら進めることで、大切なデータを確実に引き継ぐことができるでしょう。