iPhoneを初期化する前に知っておくべきこと!手順とトラブル対処法
iPhoneの動作が重くなった、売却前にデータをきれいに消去したい、そうした場面で「初期化の手順がわからない」と悩む方は少なくありません。本記事では、iPhoneを初期化する方法を事前準備から通常手順、パスコードを忘れた場合の強制リセット、よくあるトラブルの対処法まで順を追って解説します。
・初期化前には必ずバックアップの取得・「iPhoneを探す」のオフ・LINEのアカウント引き継ぎを済ませること
・パスコードやApple IDを忘れた場合でも、iOS 15.2以降のロック画面操作やリカバリーモードで対応できる
目次
iPhoneの初期化とは?消えるデータと残るデータ
初期化によって消えるものと残るものを見ていきましょう。
初期化で消えるものと残るもの
「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行すると、iPhoneのストレージ内データが暗号化キーごと削除され、工場出荷時の状態に戻ります。
iOSのバージョンは、本体から初期化した場合は変わりません。パソコン経由でリカバリーモードを使って復元した場合のみ、その時点での最新iOSが適用されます。
| 項目 | 状態 | 備考 |
|---|---|---|
| 写真・動画・連絡先・メッセージ | 消去 | バックアップ必須 |
| インストール済みアプリ | 消去 | 再ダウンロードが必要 |
| Apple ID・各種アカウント情報 | 消去 | 再ログインが必要 |
| Face ID・Touch ID | 消去 | 再登録が必要 |
| Wi-Fi・Bluetoothのペアリング設定 | 消去 | 再設定が必要 |
| iOSバージョン | 残る | 本体操作の場合は変わらず |
| iCloudサーバー上のデータ | 残る | 端末側のみ削除される |
| eSIM情報 | 選択可能 | 初期化時に保持か削除かを選択 |
Suica・PASMOなどのICカード情報は、削除してもJR東日本などのサーバーに残ります。同じApple IDでサインインすれば、残高ごと別のiPhoneに復元できる仕組みです。
「リセット」と「初期化」の違いを整理する
「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「リセット」の中には複数の選択肢があります。それぞれの用途が異なるため、目的に合ったものを選ぶことがポイントです。
| リセットの種類 | 消えるもの | 主な用途 |
|---|---|---|
| すべての設定をリセット | Wi-Fi設定・壁紙・着信音など(データは残る) | 不具合の軽減 |
| ネットワーク設定をリセット | Wi-Fiパスワード・VPN・Bluetooth設定 | 通信トラブルの解消 |
| キーボードの変換学習をリセット | 予測変換履歴 | 予測変換の初期化 |
| ホーム画面のレイアウトをリセット | アプリアイコンの並び順 | 画面整理 |
| すべてのコンテンツと設定を消去 | ほぼすべてのデータ | 売却・機種変更時 |
端末を完全に空にしたい場合は「すべてのコンテンツと設定を消去」を選択。「すべての設定をリセット」ではデータが消えないため、売却前の対応としては不十分です。
初期化前に済ませるべき事前準備
データ消失を防ぐために必須の4つの準備を解説します。
バックアップを作成する
初期化後にバックアップなしでデータを元に戻す手段はなく、作業前の取得が必須です。取得方法は「iCloudを使う方法」と「パソコンを使う方法」の2つがあります。
iCloudでバックアップする手順(パソコン不要)
- Wi-Fiに接続する
- 「設定」→「ユーザー名(Apple Account)」→「iCloud」をタップ
- 「iCloudバックアップ」を選択
- 「今すぐバックアップを作成」をタップ
iCloudの無料ストレージは5GBです。写真・動画が多い場合は容量不足になる可能性があるため、有料プランへの変更(50GBプランは月額150円・税込)か、パソコンでのバックアップを検討してください。
パソコンでバックアップする手順(iTunes・Finder・Appleデバイスアプリ)
- iPhoneをUSBケーブルでパソコンに接続する
- MacはFinder、Windows 10 / 11は「Appleデバイス」アプリを開く(Appleデバイスアプリがない場合はiTunesを使用)
- 「ローカルのバックアップを暗号化」にチェックを入れる
- 「今すぐバックアップ」をクリック
暗号化バックアップを選ぶと、キーチェーン・Wi-Fiパスワード・ヘルスケアデータも保存されます。 自分で再利用するケースでは特に有効な方法です。
「iPhoneを探す」をオフにする
端末上で初期化する場合
端末上で「すべてのコンテンツと設定を消去」を正しく完了すれば、「iPhoneを探す」とアクティベーションロックは自動的にオフになります。そのため、次のユーザーが端末を使用する際にロックがかかることはありません。
iCloud.comから遠隔消去する場合
iCloud.comの「iPhoneを探す」機能から遠隔で消去した場合は、アクティベーションロックが残ります。この場合、事前に「設定」→「ユーザー名(Apple Account)」→「探す」→「iPhoneを探す」の順に進み、手動でオフに切り替えておく必要があります。
売却・譲渡する場合は、念のため事前に「iPhoneを探す」をオフにしてから初期化する方が確実です。このとき、Apple IDのパスワードの入力が必要です。
LINEのアカウント引き継ぎをする
LINEはアプリ内で個別の対応が必要です。
トーク履歴のバックアップ
LINEアプリ内「設定」→「トークのバックアップ」→「今すぐバックアップ」
かんたん引き継ぎQRコードの表示
LINEアプリ内「ホーム」→「設定(歯車アイコン)」→「かんたん引き継ぎQRコード」を表示させ、新しい端末でスキャンしましょう。
LINEのかんたん引き継ぎQRコードを使った場合、直近14日間分のトーク履歴が復元できます。同じOS間でバックアップを取っていれば、14日間分に加えてバックアップ分のトーク履歴も復元可能です。
Apple Watchのペアリングを解除する
Apple Watchを使用している場合、初期化前にペアリングの解除が必要です。
「Watch」アプリ→「マイウォッチ」→「すべてのApple Watch」→対象のウォッチを選択→「Apple Watchとのペアリングを解除」の順にタップしてください。 解除と同時に、Apple Watchの最新バックアップが自動作成されます。
iPhoneを初期化する手順
パスコードとApple IDがわかる場合の基本手順を解説します。
設定アプリから初期化する
パスコードもApple IDのパスワードも把握しており、画面操作が可能な場合は以下の手順で初期化できます。
- 設定アプリを開く
- 一般をタップ
- 画面最下部の「転送またはiPhoneをリセット」をタップ
- すべてのコンテンツと設定を消去を選択
- 続けるをタップ
- iPhoneのパスコードを入力
- スクリーンタイムパスコードを入力(設定している場合)
- iCloudバックアップの確認画面が出た場合は「スキップ」を選択(事前に取得済みの場合)
- Apple IDのパスワードを入力
- 「iPhoneを消去」をタップ
Appleのロゴとプログレスバーが表示され、数分から十数分で初期化が完了します。多言語で「こんにちは」と表示されれば、工場出荷時の状態に戻ったことが確認できます。
eSIMを使用している場合の注意点
eSIM対応のiPhoneを使用している場合、初期化の途中で「eSIMを保持してデータを消去」か「eSIMを削除してデータを消去」かの選択が表示されるでしょう。
| 選択肢 | 選ぶべきタイミング |
|---|---|
| eSIMを保持してデータを消去 | 自分が引き続き同じiPhoneを使用する場合 |
| eSIMを削除してデータを消去 | 売却・譲渡・修理に出す場合 |
誤ってeSIMを削除してしまった場合は、各通信キャリアのアプリやマイページから再発行の手続きを行います。楽天モバイルやpovoなどの一部キャリアはオンラインで再発行できますが、大手キャリアでは店頭手続きに手数料が発生するケースがあるでしょう。
パスコードを忘れた場合の強制初期化
パスコードがわからない場合の2つの方法を見ていきましょう。
ロック画面から初期化する(パソコン不要)
iOS 15.2以降を搭載したiPhoneでは、以下の3つの条件を満たせばパソコンなしで初期化できます。
- iPhoneを探す(Find My)が事前に有効になっていること
- iPhoneがWi-Fiまたはモバイル通信でネットワークに接続されていること
- 設定済みのApple IDとパスワードを把握していること
パスコードを複数回誤入力すると、iOSのバージョンによって表示される画面が異なります。
iOS 17以降の場合
「Forgot Passcode?(パスコードをお忘れですか?)」をタップし、「Start iPhone Reset」を選択して初期化を開始
iOS 15.2〜16系の場合
「Erase iPhone(iPhoneを消去)」が表示されるので、これをタップして初期化を開始
いずれの場合も、確認画面でApple IDのパスワードを入力すれば初期化が始まります。圏外・機内モードの状態ではこの機能が使えないため、注意が必要です。
リカバリーモードを使う(パソコン必要)
パスコードを忘れ、Wi-Fiにも接続できない場合や、リンゴループなどで起動しない場合はリカバリーモードを使用します。
・パソコンとiPhoneをつなぐ接続ケーブル
100円ショップ等の充電専用ケーブルでは通信できず、初期化が進まないことがあります。
| OS | 使用するアプリ |
|---|---|
| Windows 10 / 11 | Appleデバイス(Apple Devices)アプリ(Microsoft Storeよりインストール) |
| macOS Catalina(10.15)以降 | Finder |
| macOS Mojave(10.14)以前 | iTunes |
Appleは公式サポートページにて、WindowsではAppleデバイスアプリを使用するよう案内しているため、Appleデバイスアプリがインストールされていない場合は、代わりにiTunesを使用しましょう。
リカバリーモードは各機種ごとに操作が異なるため注意が必要です。
| 機種 | 操作方法 |
|---|---|
| iPhone 8以降・SE第2・3世代 | ①音量アップボタンを押してすぐ離す → ②音量ダウンボタンを押してすぐ離す → ③サイドボタンをリカバリーモード画面が表示されるまで長押し |
| iPhone 7・7 Plus | 音量ダウンボタンとサイドボタンを同時に長押しし、リカバリーモード画面が表示されるまで押し続ける |
| iPhone 6s以前・SE第1世代 | ホームボタンと電源ボタンをリカバリーモード画面が表示されるまで同時に長押し |
リカバリーモードに入ると、Finder・Appleデバイスアプリ・iTunesのいずれかに「アップデートまたは復元を必要としているiPhoneに問題があります」と表示されます。「復元」をクリックすると最新のiOSをダウンロードしながら初期化が実行されます。
初期化できないときのトラブル対処法
よくある3つのトラブルと対処法を見ていきましょう。
スクリーンタイムのパスコードが不明な場合
「制限されているためサインアウトできません」などの表示が出る場合、スクリーンタイムのパスコードがロックの原因となっています。
「設定」→「スクリーンタイム」→「スクリーンタイムパスコードを変更」→「パスコードをお忘れですか?」の順に進み、Apple IDとパスワードでリセットできます。それでも解除できない場合は、リカバリーモードを使った強制初期化がおすすめです。
パソコン接続時にエラーコードが出る場合
エラーコード「9」「4005」「4013」「4014」などが表示された場合は、以下の順で確認します。
- iOSとiPadOS、macOSを最新バージョンに更新する
- Apple DevicesアプリまたはiTunesを最新バージョンに更新する
- ケーブルを純正品に交換し、別のUSBポートに接続する
- 別のパソコンで試す
- 「アップデート」または「復元」を再度試す
上記の手順で解決しない場合は、ソフトウェアや接続環境以外の問題が考えられるため、Appleサポートまたは正規サービスプロバイダへ相談しましょう。
初期化が完了しない・リンゴマークで固まる場合
プログレスバーが長時間進まない場合は、ストレージや基板の物理的な不具合が疑われます。
先ずは強制再起動を試み、その後リカバリーモードで復元を試みてください。それでも解決しない場合は修理店への持ち込みがおすすめです。
iCloudから遠隔で初期化する方法
手元にiPhoneがない場合や操作できない場合、iCloudの「iPhoneを探す」機能から遠隔で初期化できます。
ブラウザで「icloud.com/find」にアクセスし、対象のiPhoneを選択して「削除」を実行してください。 この方法を利用するには、事前に「iPhoneを探す」がオンになっている必要があります。
なお、iCloud.comから遠隔消去した場合は、アクティベーションロックが残るため、売却・譲渡する場合は端末上で初期化する方が確実です。
初期化後の確認とデータ復元
初期化完了後のデータ復元と売却前の確認事項を解説します。
データを復元する手順
初期化が完了し「こんにちは」の画面が表示されたら、バックアップからデータを復元できます。
iCloudから復元する場合
- 初期設定を進め、「Appとデータ」の画面で「iCloudバックアップから復元」を選択
- Apple IDでサインイン
- 復元したいバックアップを選んでタップ
- 完了するまでWi-Fi接続を維持した状態で待機(容量によって数十分かかる場合あり)
パソコンから復元する場合(Finder・Appleデバイスアプリ・iTunes)
- iPhoneをパソコンに接続する
- Finder・Appleデバイスアプリ・iTunesのいずれかを開き、「バックアップを復元」を選択
- 復元するバックアップを選んで実行
復元中はiPhoneを接続したままにしておく必要があります。 Wi-Fiに接続した状態でiCloudから復元すると、アプリデータのダウンロードがスムーズに進みます。
売却・譲渡前の最終確認事項
初期化後に売却や譲渡をする場合は、以下の項目を確認してください。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期化完了の確認 | 電源を入れて「こんにちは」の画面になるか確認 |
| ネットワーク利用制限 | 携帯キャリアのサイトでIMEIを入力して「○(完済)」か確認 |
| SIMカードの抜き取り | SIMトレイにSIMが残っていないか確認 |
| eSIMの削除 | 初期化時に削除を選択したか確認 |
| SIMロック解除 | iPhone 12以前の端末は必要に応じて解除を申請 |
ネットワーク利用制限が「△(分割支払い中)」の状態では、買取価格が下がったり買取不可となるケースがあります。売却前に割賦残額の返済状況を確認しておきましょう。
まとめ
iPhoneの初期化は「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「すべてのコンテンツと設定を消去」で実行できます。事前にバックアップの取得・「iPhoneを探す」のオフ・LINEのかんたん引き継ぎQRコードによるアカウント移行を済ませることで、データ消失などのトラブルを防げるでしょう。
パスコードやApple IDを忘れた場合でも、iOS 15.2以降であればロック画面から、それ以外はリカバリーモードを使って対応できます。売却・譲渡前には、ネットワーク利用制限の確認とeSIMの削除を忘れずに行いましょう。